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真夜中のバルカッチャ噴水、運命と意志の力

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南野 尚紀 

 Romaに着いた初日、時差ボケの影響で夜中の3時に起きてしまった。

 疲れが溜まっていると、飛行機の中でぐっすり眠れるので、逆にイタリアに着いた後、そんなに長く寝ていられない。

 なので、夜の散歩に出かけることに。

 夜のRomaはキレイだ。

 Firenzeもキレイだけど、Firenzeよりも垢抜けた印象がある。

 クリスマスシーズンなので、イルミネーションも輝いているし。

 数分歩くと、スペイン階段とバルカッチャ噴水にたどり着く。

 昼間にしか見たことがなかったので、夜、こんなに神々しく輝いているとは思わなかった。

 トレヴィの泉もそうだけど、Romaの白い大理石と泉のイメージが好きだ。

 天国ってこんな感じなんだろうかって、つい想像してしまう。

 それでもFirenzeの神話と生活感が同居してる感じには、僕の中では敵わない。

 そういえば、飛行機の中でアントニオ・タブッキの『レクイエム』を読んでいたが、そこには、男がリスボンの街でジプシーのおばあさんにこう言われるシーンがある。

 「今日という日があんたを待っている。そこからは逃れることができない。自分の運命からは逃れられないんだよ。今日という日は受難の日であるとともに、浄化の日でもある、たぶん、浄化のあとは自分と折り合いがつけられるようになるだろうよ」。

 夢と現実の両方に生きることはできないと言われた後に、不安に見舞われている男がそう言われたのである。

 運命というのは、時間を待つことと関係がある。

 天上界を類推し、伝令を送ることで運命の判決は変わるだろう。意志の力以外に、他のエネルギーや法則などによって決定されている要素があり、それは意志の力で変わるが、意志とは無関係に働いている力もある。

 意志っていうのは厄介だ。

 自然の法則やエネルギーに抗いすぎる意志は、運命の判決を悪い方向に変えてしまう可能性のだから。

 少し難しい話になったけど、意志を正しく強く持とうとするってことは大切だし、芸術は意志と深い関係がある。

 Romaの夜の街に宿る神々しいバルカッチャ噴水を見たあとに、そんなことを考えた。

 雨が降ってきたので、戻ってくると、ホテルの部屋の中のあたたかさに気づく。

 今日の朝のブレイクファーストが楽しみだ。

了 

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