Firenze shopping log

DOLL

74 Views

南野 尚紀 

 時々、僕は人形だったんじゃないかと感じる時がある。

 人には買ってもらえないくらい大きく、一応、キレイだとしてくれる人もいる人形。

 もっとキレイになりたい。

 あの子のために。

 人形は女の人が遊ぶためだけにいて、いつもどこか遠くを見てる。

 昔、東ヨーロッパのアニメを見て、アヴァンギャルド芸術に憧れたことがあった。

 意味を追い求めすぎて、だれにも相手にされないピアニストの演奏のようなアート。

 キレイだけど、不気味じゃない、あれ。

 もっとキレイになりたい。

 夜。

 ひどい孤独を抱えた女の子の祈りや、怨念が乗り移って、息を吹き返す。

 ずっと部屋の中にいても、あの子には違う世界を見せてもらえるから、あの子と一緒にいたい。

 人を寄せつけないくらいのキレイさに価値はあるのだろうか。

 それでも心が美を求める。

 なにかが乗り移ったように。

 好きな女性の意思だけを反映させて動く人形。

 自分の意思や自由が不愉快に感じる。

 キットゼンセデモユメミテタ、アナタノタメダケノニンギョウ、ピノッキオノヨウニ、ウソヲツクトオンナノコニアイテニサレナクナルニンギョウ、ソレダケデ見てもらえなくナルニンギョウ、シンジツダケヲアイシテクダサイ、オンナノヒトヲアイシテクダサイ。

 こういう想いに守られてると感じる時、ひどく幸せを感じる。

 ドール。

 それは空っぽのようで、念の塊。

了 

コメント

この記事へのコメントはありません。

関連記事

Firenzeのフリマで買い物、グローバル社会の中の南野、 Firenzeローカルな南野

安心する夜を過ごすためのメゾット

イタリアに行って人生観が激変した話

普遍的倫理を追求しながら、日本は國體をいかに守るかという参政党の吉川りなが掲げている問題について

中世イタリア文化と自然へのあこがれ

イタリア美学Ⅵ――ルーマニア人女性はステキ――

ドン・キホーテが遍歴の旅に出たのは、なんのためだったのか?--古すぎる美を愛したひと--

PAGE TOP