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南欧的な愛、実践的な恋愛哲学――僕が思うプラトニックラブ、ロマンティックラブ、これら二つを乗り越えるための方法――

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南野 一紀 

 二年ほど前、地元の女友達に、「ストレス発散したいから、カラオケ行きたいんだけど来る?」っていわれたから、たまにはってことで会いに行って、散々、TUBEとか、オリジナルラブとか、スピッツとか古い曲ばっかり歌ってたら、相手もそれに合わせて、ジュディーアンドマリーとか、ボアとか、世代の曲しか歌わなかったんだけど、途中、韓国アイドルの話になって、スーパージュニアに推しがいるって話をしてたから、スマホで顔を見てみたら、まったくイケメンじゃなくて、話を聞くとお笑い担当のひとだってことで、「このひとがいいの? 夫はどう思ってるのこのこと」って聞いたら、「夫は従軍慰安婦の問題とか、政治の問題で韓国を毛嫌いしてるし、あんたも知ってると思うけど、BTSが原爆を肯定する歌、うたってホワイトハウス行ったこと知ってるから、あんまりいい顔しないよ。それでもこの前、妹とさいたまスーパーアリーナでスーパージュニアのライブ見てきたけど」って話した手前、「婚活はどうなったの?」って聞き返されたから、「ああ。婚活、いいひといたんだけど、やっぱり自分の仕事もっと整えてからにした方がいいかなぁってこともあって、出直すことにした」って話した。
 それでも、僕がその素敵な女性とジャズライブ行ったこととか、森ビルのオービカっていうモッツァレラの専門店に行って、「水牛のモッツァレラ、オリーブオイルと合っておいしいね」っていったら、「大人ちゃんかな」って誤魔化された挙句、最後、埼玉の居酒屋でふつうのポテトを頼まれて、「ささ、食べて。ポテト、おいしい?」って聞かれたから、正直に、「ふつうかな」って答えたら、ストレートに別れられたけど、「ひさびさにデートらしいデートした」とかいってくれたし、結婚の話も出たから、惜しかったんだよなぁってことを話したら、「ホテルには行ったの?」って聞かれたから、「ホテル? 誘うタイミングなかったし、ああいう大人の女性ほど、結婚のことよく考えてるからそういうの慎重みたいで」って話したら、「今時、婚活アプリでも、結婚相談所でも会って即ヤリとかいくらでもあるから。あんたはつまりね、推しが弱いんだよ! 婚活の敗因はそれだと思う。あと絶対もっと痩せた方がいい!」と言われたのに、そのあとその女、結婚寸前までいった女性と一緒で、ロマンもなにもない「お昼、カラオケのポテトでいいや。食べる?」とかなんとか。
 それにしても気になるのは、あの女の妹のインスタみたら、彼女の結婚式の様子の動画が貼ってあって、すごくつまんなそうな顔を終始してたっていうのも事実で、あれはなぜなんだろうといまだに思う。
 僕はイタリアで、イタリアか東欧かスペインの女性と結婚したいなぁっては思ってるけど、周囲の様子をみて、結婚生活を楽しく続ける方法はいくつかあると思ってる。
 その最大の秘訣は、ロマンティックラブを続けるということで、性的な関係やお互いの精神が成熟してるからこそ、ほんとの恋愛を続けるということにこそあるんだろう。
 日本ではこれはラブコメだから高校か、いいとこ大学生までというひともいるけど、イタリアはロマンチックなムードが好きなひとが多い。
 イタリアの作家・ディーノ・ブッツァーティには、『タタール人の砂漠』という小説があって、タタール人が攻めてくる境界の要塞に務めた軍人がやる気のない軍人の集まりで、戦争することないまま死んでいくという作品でなんだけど、カフカの「掟の門」にも、タタール人がいくつもある門の最初の門の前で、張っているという話が書かれている。
 新居に住む時も、この人は土地のことわかってるんだろうかってみてくる人はいるし、姑だって、教室の入門クラスだって乗り越えたら勝ちで、なんでもスタートしたばかりというのはめんどうな問題があるんだろう。
 しかしイタリアはロマンティックなムードが大人の恋愛という文化があるから、ロマンティックな恋愛が素人の恋愛ってこともないから、これも問題ない。
 話は飛ぶけど、そういう恋愛を邪魔された時にどう対応すべきかは、大きく二つある。
 気の強い人間で苦手だなってひとと会った場合、パーティのノリでバカ騒ぎして、やり過ごすとか、逆にそれが通用しないタイプのひと、それで納得しなさそうなひとには、シリアスな議論をしたり、明るくない戦争の話や、ひとの精神の話をしたりして、納得してもらうのもいいと思う。
 これは心の問題も同じで、嫌なイメージが浮かんだ時、好きな音楽でも聴きながら、ひとと会って楽しく騒いだことを思い出すか、強気で戦争や人の精神の問題を熟考することも、実は精神衛生を保つ上でいいんだろう。
 最後は好きな女性のことと、ずっと継続してきたことを思い出して、あの時がんばったなとか、あのひととまた会いたいなとか、考えるとよりいいと思ってる。
 それでその想いをエッセイにすると、ギリシャ悲劇のピュグマリオンのように、好きなひとの彫刻ばかり掘ってたら、ほんとにそのひとが現れるってこと、現実にもあると僕はあると思ってるし。
 結婚生活を続けるためには、性的なことはテクニックとか、お互いをよろこばせるムードが作れないといけないけど、恋愛は逆なんだろう。
 スペインの作家・Irene Vallejoの著書『PUPYRUS』にもあるように、目的を達成するために、沈黙、盗み見、撲滅を生贄に捧げること、もし途上、恫喝の使が現れたら、焼きだこ、ワインを飲み食いして、騒ぎなさいと書かれている。
 キレイな女性ほど、盗み見、言い換えれば、盗撮とか、痴漢とか、フェイクニュースの報道の真偽を確かめられる時に、冤罪強要を迫る恫喝や圧力ってあるんだろうけど、大変だなぁって思う。
 特にひとから見られるってことのめんどうさ、これは僕も不快に思ってる。
 だから僕もできれば、そういうひとと結婚したい。
 僕も痴漢とか、盗撮する野郎はほんとに最低だって思うから。
 いい結婚できるといいけどな。
 いずれにしれもロマンを思い描くことは、結婚にも、心にもいいから、今日も幸せだった時の記憶を思い返しながら、安らかに眠りにつくことにしようと思う。


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