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文学あれこれ雑記 第6回 海で読みたくなる本、湘南のオーシャンビューのレストラン、ホテルも紹介

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南野 尚紀 

 海で読書っていいですよね。

 シュチュエーションを決めて読書すると、僕はすごく気分がよくなります。

 三島由紀夫みたいに、海に峻厳を見たがるタイプもいますが、僕はそんなことなく、海はみんながああだこうだ、語り合ってしあわせに過ごせる場所、波打ち際に映し出される太陽の光が波の打ち寄せ具合によって映ったり、消えたりするのを歩きながら、気ままに眺める場所、水平線の向こうを想像してみる場所、嫌なことが会った時に、訪れて気分を紛らわせる場所、思い切って女の子に声かけたいけどなぁとか思って、結局、海外の女の子に声をかけてインスタだけ交換して、今こんなことしてるんだあの子とあとで眺めるみたいなこともある場所っていう印象があります。

 そんな海で読むのにはいいなって個人的に思う本を4冊、紹介しますね。

 1冊目は、村上春樹の『カンガルー日和』に収録されている「五月の海岸線」。

 小説の内容は、大学の夏休みに海辺の街にある故郷を訪れた主人公の「僕」は、友人の結婚式に呼ばれて、10年ぶりに地元の海辺の街へと帰ります。

 新幹線で退屈し、変わらない部分もある見慣れた街を歩き、海が埋め建てられて、その上にできたビル群を、「いずれ崩れ去るだろう」と僕は考えます。

 途中で、井戸に冷やされたスイカのこととか、地面に雨がポツリポツリと黒い点を作っていく様子とか、5月の海のあたたかい感じを連想させる描写が多く含まれていて、読んでて心地よい気分になる1冊。

 評論は他のエッセイで書きましたので、そちらを読んできた抱きたいですが、この小説は、読んでて懐かしくなるような、愛と平和の心が取り戻せるようなそ感じがあります。

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 2冊目は、保坂和志『プレーンソング』。

 主人公の僕は東京の豊島区の中村橋駅の近くに住んでるサラリーマン。

 彼女と結婚して住む予定で、2LDKのマンションを購入してしまったが、彼女と別れてしまい、部屋を持て余している。

 そんな中、写真をやりながら過ごしているアキラ、その彼女のよう子、会社員だけど、ほとんど荷物を持たずにいる島田、この3人が、主人公の部屋に転がり込んできます。

 意図がない映像を撮ることに夢中のゴンタ、競馬にはなぞの裏ルールがあるんではないかと夢中で法則を探している三谷など、争いとは無縁のメンバーたちの群像劇。

 野良猫に餌をやることについて、僕が知り合いの女性と電話で話したり、豊島園の近くを散歩して、柵を飛び越えて中に入ったり(いけないことなので、マネしてはいけないというか、豊島園はもう閉園になってますが)、みんなで海に行ってボートを借りて、しゃべったり、とにかく自由な小説。

 評論はいずれ書くので、小説の持つ価値は各々が考えてほしいのですが、とにかくリアルなのに明るい作品です。

 最後の海のシーンだけ読みながら、海辺でチェアリングとかやってもいいと思います。

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 3つ目はアニー・エルノーの『嫉妬・事件』の「嫉妬」。

 これは僕個人が、鎌倉の由比ヶ浜で読んで、iPadで評論を書いたから、そう思うだけなのかもしれないですし、海は出てこないです。

 パリ在住の主人公の女性が彼と別れてしまうのですすが、元カレと付き合ってる女性のことが気になり、方々から情報を集めて、女性がどんな女性なのかを類推したり、奇妙な出来事に巻き込まれたりしつつ、元カレや彼女の気持ちを深い部分で理解するという内容です。

 美学的に奥深いものがあるのですが、推理モノのように筋に引っ張られて読むこともできます。

 評論は別に書いたので、ぜひ。

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 最後は、アントニオ・タブッキ『遠い水平線』。

 死体安置所の監視役をする僕は、ある日、運ばれてきた死体のことが気になりはじめる。

 情報によると、就労していい年齢に達してない男の子が、工事現場で死んだのがその死体がということで、彼はわずかな情報をもとに、「ノボルディ」=「nobody」がどんな人物なのかを追い求めます。探してる最中、自分がだれかに探されてるような感覚にとらわれますが、それでも彼は街中でいろんな人に死体の人物について、質問を続けます。

 この小説も海が出てきます。

 どんな場面で出てくるかは秘密ですが、とにかく港湾の描写やホテルから水平線を眺める描写は、美学的な意味で深いものでもあるので、ぜひ。

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 今回はこんなところです。

 僕が住む予定のFirenzeは海がないのですが、エルバ島、シチリア島など、いろんなところに海を楽しめる場所がイタリアにはあるので、今度の夏には1回行って、海を眺めながら、本を読むのもいいかなって思ってます。

 日本に帰った時は、湘南に滞在しているので、由比ヶ浜の浜辺から上がったところのベンチとか、江ノ島の段々になったところとかで本を読んだりします。

 江ノ島の近くにGARBっていうお店があって、そのイタリアンレストランはテラス席だと、海を見ながら、パスタを食べたり、ワインを飲んだりしつつ、本が読めるので、最高なんですよね。

 鎌倉プリンスホテルとか、大磯プリンスホテルとか、葉山のうみのホテルとかも、値段は高めですけど、オーシャンビューの部屋に泊まると、海を眺めながら読書もできるので、オススメですよ。

 ぜんぶいいところだけど、うみのホテルはお気に入りなので、今度また泊まりたいなぁ。

了 

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