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文学あれこれ雑記 第4回 逗子作家と鎌倉作家、雨の日の読書に合う音楽について

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南野 尚紀 

 逗子にいると、石原慎太郎が小説やエッセイで書いてたことをよく思い出す。

 例えば、登山家で自然に取り憑かれたように山登りをして、死んでいった人の話を書いた時に、自然や死とは残酷なものだとまで書いてたかはわからないけど、そんな印象を受ける書き方は確かにしてて、そのことや、宇宙と自分の人生が繋がってることがわからない人間はその程度のスケールでしか生きられないということも書いてたことは、感じるものが強くある。

 逗子は旅行でしか来たことがなかったけど、静かなところで、ゲストハウスのオーナーにコンビニが軒並み潰れたということを聞いたんだけど、逗子の人は邪魔だからコンビニを追い出したんじゃないかって思えるくらい、自然が雄大な場所で、雄大なだけでなく、富裕層や余裕がある人が住んでることもあって、ゆとりもある感じだ。

 藤沢の開かれたゆとりや、鎌倉の調和を重んじていて、かつ観光地としてゆったり人を迎え入れるゆとりとも違くて、厳然たる自然を前にした悟りとか、欲望を追求しない、我欲を優先しない感じがあって、偶然かもしれないけど、葉山の森戸海岸で、海をキレイにするボランティアの人がいたり、駅前にも街の美化を推進して、掃除して回ってる人たちがいたり、もちろん藤沢にも鎌倉にもそういう人はいるんだろうけど、oasisっていうジャマイカレストランのオーナーの女性も筋金入りのヒッピーだった。

 石原慎太郎はやっぱり、フェミニズムとヒッピーが保守化したタイプの保守で、その情の厚さってそこから来てるんだなと。

 女性問題というか、女性に関することは小説とかエッセイでしか書いてないけど、彼はいわゆるビーチにいて、ボクシングとかが好きそうな湘南美人が好きなんだなってことは、小説を読んでてわかるし、運輸大臣や東京都知事をやった時も、環境問題は徹底してやった。

 保坂和志さんは石原慎太郎は嫌いみたいだけど、鎌倉に住んでる保坂さんの感じもわかる。

 鎌倉っていうのは、もっと義理よりも商売とか、穏やかな気風を大切にするし、保坂さん自身も石原慎太郎の義理堅さや古典的な意味での強権的な姿勢は、それに反するので好きじゃないんだろう。

 僕はどっちが好きかっていうと、保坂さんなのかもしれないけど、それは僕にない気質を持ってるからで、似てるかどうかで言えば、性格は完全に石原慎太郎の方に似てると思う。

 石原慎太郎の太陽の季節記念碑野営会をやった時も、軍人みたいな人がいて、焚き火焚いたり、アルミのご飯炊くやつ、名前は知らないけど、あれを使ってて、別にその人が石原慎太郎と関係あるかわからなけど、地面を這ってでも敵を倒すというあの石原慎太郎の姿勢は好きだ。

 言うまでもないけど、自衛隊に守られてるから、日々、平和に生きられているんだし、ウクライナもそうだけど、積極的にみんなで支援すべきだと思う。

 僕は今度、ウクライナに200万円義援金を贈るつもりだ。

 ウクライナが西側のために戦ってくれてるのだから、当然だと思う。

 今日の逗子、というか葉山だけど、葉山は雨が降ってる。

 そんなことで、今回は雨の日にピッタリのアルバムを紹介しようと思う。

 特に本を読みながら、聴きたくなる上品なオトナのアルバムだ。

 イタリア人ジャズギタリスト、Pasquale Grasso.

 『Solo Masterpieces』は、彼が完全に垢抜ける前のアルバムなんだけど、メロウで聞いてて、思考の言葉が音に溶けてしまいそうなムード感がある。

 ルバートっていう、原曲の楽譜に比べて、音を引き延ばして演奏するのが好きなアーティストなんだけど、その引き延ばし方が悲しい感じもして好きだ。

 昔、友達の数人にジャズの音楽を聴いてみてって何人かオススメしてみたんだけど、Pasqualeは高確率でいいって返ってきた。

 技巧的でもあるし、ジャズが好きじゃなくても手堅く心を掴むやわらかいムード感があるからなんだろう。

 セルシオ・メンデスもいい。

 ブラジル66っていうアーティストと組んで出したアルバム『Equinox』は、単におしゃれなだけじゃない、奥行きとか、恋愛のムードを高めてくれる媚薬みたいな感じがあって、晴れの日にカフェとかで聴くのもいいけど、雨の日にしっとり聴くのにもいい。

 「Night and Day」をやってるのは、なるほどという感じがする。

 悲劇の色が背景に濃厚にあるから、軽めの打ち出しでも重く響くんだろう。

 最後は、僕がアーティストの中でも特に尊敬してるLeyonaの『Off The Lip』。

 全曲好きだけど、「On The Floor」とか「Someday」は特にいい。

 僕が基本的に、家でできる仕事をしながら、団地に住んでる未亡人みたいな生活してるからか、Leyonaの音楽を聴きながら、部屋にいる味わいというのは他にない。

 あの人どうしてるかなとか、今度の土曜日は、雨降ってなかったら、鎌倉で欧米系の女性にまた声をかけようかなとか、いつになったら、このタスクはぜんぶ終わるんだろうとか、Pisaでは理想の暮らしを将来の奥さんとするんだとか、本当に団地妻ならぬ、団地夫未亡人みたいだ。

 結婚は夫といないと寂しいって心から思いそうで、かつ生活を彩るってことを真剣に考えて実行する人がいいと思う。

 音楽とかの趣味も理解してくれる人がいいし。

 いつ結婚できるのか、夜寝る前、ずっと頭から離れない日が続いてる。

了 

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