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サブカルサウダージ 第5夜 SienaにいるCaterinaという僕の好きな女医、益田ミリのマンガ『僕の姉ちゃん』から学ぶ恋愛の奥義

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南野 尚紀  

 僕は美意識が高いお姉さんが家族にいれば、というか、映画みたいだが、姉のみに育てられた弟みたいな人生を送れてたら、もっと早い段階でいい人生が送れたんじゃないかと思うことがよくある。

 お姉ちゃんがほしかったし、お姉ちゃんに似た人と結婚したい。

 ZARDの坂井泉水に似たお姉さんに育てられて、Leyonaみたいな女性と結婚する。

 最高な人生だろう。

 奈良美智みたいに、気風が合わないはずなのに、わざわざドイツに留学をしに行って、ほとんど父性にいちゃもんをつけてるみたいな作品を書いたり、多和田葉子みたいに、ドイツでドイツ語と日本語で文学をやって、「ペルソナ」という作品はそうなんだけど、そのままドイツ人に文句を言ってる作品を書いたりする人はいる。

 僕はそういう感覚が理解できなくて、ドイツ人はEUの経済や安全保障を支えてる大国なんだから、厳しいところがあっても、文句を言うんじゃないと思うけど、ドイツ人や父性を持った人自身は度量があるから、あまりそれに対して厳しい態度は示さない。

 もちろん問題があったら、ドイツ人でも父性的な人でも厳しく言うべきだけど、ドイツや父性を持つ人はいつも損をしてるなと思う。

 僕が話したいのはその話ではなく、益田ミリのマンガ『そう来る? 僕の姉ちゃん』とイタリア人の女医のCaterinaの話だ。

 大人びた女性というのは、大人であるが故に、美や哲学的発見への目線が厳しい。

 そこが最高で、僕はヨーロッパでよくある、フェミニズムの現代アートとか、広告とか、アニー・エルノーみたいな女性らしい小説とかに接すると性的な快楽を強く感じて、それを見るだけで心が幸せになるんだけど、こういう作品に触れながら、それを仕事にし、それこそ昔、好きだった仁美さんみたいな人と結婚したいと思う。

 益田ミリのマンガの話に移ろう。画像を貼るのでぜひ楽しんでください。

 まずは「観察」から。

 古典古代よりある神に作られたものを愛せない人間は、神から遠いし、罰が降るということそのままなんだろうけど、最後のコマで、ショートケーキを食べるところがいい。

 美学的な発見というのは、実際人間には感じづらいような強烈な疲労があるので、甘いものを食べて、脳や心を癒そうということや、自分には程よく甘い部分も作るという姉ちゃんらしい態度。

 僕も自分に甘い。

 合理的であれば厳しい訓練とか、精神の訓練とか、軍隊的なものは好きだけど、僕の場合、なぜ自分に甘いのか。

 石原慎太郎太陽の季節記念碑野営会みたいに、ずっと続けたものへの信仰などが背景があればまた別なのだが、基本的に、自分に厳しくするとなぜかうまくいかないし、体調を崩すこともある。

 美学の厳しさは、いわゆるストイシズムだけでもダメで、それだけだと、悪やモンスターの邪念に狙われるということなのだろう。

 僕はこの姉ちゃんみたいな人は好きだ。


 実際に会ってみないと、友だちなのか、恋人より上には行かない人なのかはわからないけど。


 おそらく、結婚や天上界での結婚はなさそうだけど、とりあえず好きだとは思う。

 次のマンガ「チョコと恋」は、昔、田島貴男の時代のPIZZICATO FIVEの 「日曜日の印象」という曲に、「恋のたびに恋の終わりのこと 考えたきみにとっては 記念すべき日」という歌詞があったけど、あれに似てる。

 僕が結婚相談所で知り合った仁美さんは、群を抜いた美人だから、絶対相手にしてくれないだろうという想いで、とんでもない数ある、プロフィールの中からメッセージを送ったし、高島屋のカフェで会った時も、査定されてる感が強烈にあって、相手のペースに踊らされてるだけで、これは絶対無理だと思い、あと5分でリミットの1時間になるってところで、一か八かウケ狙いで、中国に留学に行った時に、わけのわからない書道家でもなんでも男の書を160円で買わされたとか、タクシーの運ちゃんの友だちの家に泊まったとか、天安門広場の青椒肉絲が人生でいちばん食べたものの中で不味かったと思うくらい酷い味だったと話したら、少し顔色が変わって、その後6回も会って、結婚の話まで出た。

結婚の話まで出たのに、別れる気だったのだろうかというのは妙だけど、彼女の中では両方なのだろう。

結婚したくもあるし、別れる前提で付き合い別れるかもしれない人だったのだろう。

 僕はそもそもいいとは思うけど、結婚ではないんだよなって思う人に、断りきれなくて、少し付き合っちゃうみたいなことは、結婚相談所以外でもあって、よかれと思ってやったのに、相手は傷ついて去ってくみたいなことはあったんだけど、やはり『新約聖書』の「ローマ人への手紙」にある通り、愛に偽りがあってはならないと思う。

結婚相談所でもなんでも、義理で会う人は絶対失敗する。

でも運命論の立場に立つと、仁美さんと似た人とは絶対会えるし、ダメなら結婚すべきか理由もわからない理由によって結婚をあきらめてるCaterinaか彼女に似た人を待とうと思う。

いずれにしても、僕はこの2人と、プリンセスプリンセスのヴォーカルの奥居香やオルガ・トカルチュクみたいな人以外は結婚は難しそうだから、40歳までは待つことにする。

次のマンガ。

 元彼から来たメールを放置するという快感を覚えるという姉ちゃん。

僕はあんまり恭しくされると距離を反射的に置きたくなちゃうタイプで、それに快感はまったく覚えないんだけど、彼女は放置して、快感を覚えてるという。

僕には放置はするのも、されるのも理解できない。

それでも、好きな男性の気持ちを高めるための手段として、あの人今ごろ、燃え上がってるんだろう、あたしは部屋の掃除してるだけなのに、とか思うと快感なのだろう。

 SienaのドクターのCaterinaは、メールをくれるけど、どこかそっけないし、返信が早くない。

 医者だから当然だ。会った時も、医者として関わりたいとも言ってたし、忙しそうでもあった。

 それでもCaterinaがどうにかならないかなとか、Caterinaと他の数人だけが頼りだと思ってる時、悪魔に付き纏われてるような苦しみが襲ってきて、僕はCaterinaに普段は絶対にしない八つ当たりをする。

 Caterina, you know that I’m about to die a many times, I’m watching hell, and you also know that I love Caterina, so why don’t you help me? That’s why you are doctor? You know about Japan is hell. Help me.

 カテリーナ、何回も死にかけてるし、地獄を見てるの知ってて、それでいて、僕がきみのこと好きだって知ってるのに、なんで僕のこと助けてくれないの?

 カテリーナがドクターだから?

 日本が地獄だってことは、カテリーナも知ってるはずだ。

 助けてよ。

 Good morning Naoki, 

In these days  I am checking how we can arrange our visit without doing the “tessera sanitaria”. When you will move definitely to Pisa we can set up an appointment so that you can be medically followed by us. In the mean time you must set up an appointment with a psychiatrist in Japan because it seem that you are having a relapse. 

Keep me update please,

Kind regards 

 おはようナオキ、

 最近、私は「テッセラ・サニタリア」を行わずに訪問を手配する方法を確認しています。ピサに引っ越すときに、私たちはあなたが医学的な診療を受け、予約ができるようにするためです。

 最新情報を教えてください、

 よろしく

 僕は直接の人の言葉によって、ここまで救われたのはほとんどない。

 彼女はもしかしたら、叱ってほしいのかもしれない。

 自分の厳しさを。

 自分の弱い部分を。

 心の中にすくってる貧しさを(ごめん、Caterina. 誤解だとしても、僕はきみのその生活に対する態度が好きなんだ)。

 僕は好きな女性にあまり厳しくするのが得意ではない。

 大人の女性との恋愛は厳しい。

 厳しさがいい。

 ロマンティックでいい。

 僕はイタリアで、仁美さんみたいな人か、CaterinaかCaterinaみたいな人と結婚できるか。

 できなくてもずっと待ってようと思う。

了 

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