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夢のヒッピーデイ Part14――イタリアンジャパニーズレストラン酒蔵で、日本文化の新しい形の発見――

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南野 尚紀  

 ランドリーショップを使う際、待ち時間がウォッシュとドライで、合計1時間くらいあるから、どこかで時間を使う必要があって、たいていの場合、ホテルに戻って、パソコンでウェブサイト構築をするか、英語の勉強をすることが多いんだけど、その日は、ちょうど夕食どきの時間帯だったから、近くの酒蔵SAKAGURAっていうジャパニーズレストランに入って食事をとることにした。

 イタリアは日本よりも日照時間が長く、5月も中旬になると8時半でも空が薄明るい。

 日本にいる時と同じ感覚で過ごしていると、時間のズレみたいなものを感じることがよくある。

 酒蔵に入ったのは、まだ日が暮れる前だったんだけど、イタリアの時間で7時半だったから、かなりお腹が空いていた。

 店に入ると、中国人の50代くらいの女性がメニューを持ってきて、水もくれた。結果として、味噌汁、焼きそば、餃子を頼んだ。

 エッセイの最後に写真を貼るからぜひ見てほしいんだけど、味噌汁とセットでレンゲが出てくるし、そのレンゲが漆塗りだったりする。

 焼きそばも日本で食べるふつうの焼きそばと見た目がまったく違うし、モヤシ、細切りニンジン、チンゲンサイ、キュウリが入ってるんだけど、麺は見た目が違うだけで、味は日本で食べるソース焼きそばと同じ味だった。

 イタリアにいると、味噌汁を飲む機会ってなかなかないから、懐かしい感じがしてすごく気分がいい。

 餃子もエビが入ってたりして、おいしかった。

 本当は刺身とか、お寿司とか、ラーメンもあったから食べてみたかったけど、焼きそばがボリュームがあったから、追加で注文する気になれなかったのは惜しい。

 食事もそうだけど、このレストランに飾ってある絵が気になった。

 日本の芸者が本を読んでいたり、着てる服が十二単でないけど、通常芸者が着ない服を着たりしているし、ポーズもどことなく坊主のようだ。

 日本では見たことがないイメージだから、店の人がだれかにオーダーして描いてもらったのかもしれない。

 西洋古典絵画では、本を読む女性というモチーフはよく取り上げられることがあり、少女が純粋な眼差しで本を読んでいる絵画もあるが、基本的には、物事をよく考え、悲劇性、喜劇性における二面性がある女性として描かれることがある。

 ピカソの絵画にも、「本を読む女」という絵画があり、顔が白い面と青い面でわかれているんだけど、白い面は優美な側面、青い面は悲劇をうちに抱えているという側面。

 これらヨーロッパの古典のテーマを日本や中国の絵画で、よく扱われたモチーフに照らし合わせて書かれているように思える。

 酒蔵SAKAGURAの味噌汁も日本と中国の文化の融合がなされていて、日本人の僕から見ると驚くような発見だ。

 日本文化がイタリアでどんな感じで活かされているかはもっと知りたいし、南ヨーロッパ・東ヨーロッパのカルチャーはもちろんもっと知りたいけど、知るだけでなく、自分の仕事や執筆にも活かしたい。

 フィレンツェもいいレストランがたくさんあるので、ぜひグルメを楽しんでもらいたいです。

了 

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