南野 尚紀
文学のYouTubeを積極的に配信してる人を応援したいと思って、ネットでいろいろ調べてたんだけど、正直言うと、玉石混交で、サムネが気になって見たけど、意味がなさすぎて時間が無駄だったなっていう動画もあった。
あきらめかけた頃、今回紹介する藤子さきの動画に遭遇。
彼女はお仕事系の本を紹介したり、Vlogとか、美容系の動画とかもアップしていて、ヒップホップが好きそうな感じで、動画を撮る時にカメラ目線を外したりとか、読書の動画を撮る人にはめずらしいタイプだったから、文学でもどんな本が好きなんだろうって思って、気になって見てみた。
村上春樹も雑読をすすめていて、保坂和志もまた同様に、「小説の本しか読んでないヤツの書く小説ってつまんないんだよ」って言ってて、そういう意味で雑読するのに、こんな本あるんだ、しかもリラックスして読みたいとなった時に、人生にプラスにもなるし、いい本を藤子さきは紹介してる。
彼女は語学が堪能なようで、日本語、英語、フランス語ができて、ドイツ語も少しできるらしい。
動画の最初では、マネーリテラシーの本とか、偉人の失敗から学ぶ図鑑とか、語学の本とかも紹介してた。
途中、川端康成、シェイクスピアなど、新潮文庫の本を紹介してるんだけど、子どもができた時、本棚にあったら読むかもしれないから置いてあると言っただけでスルーし、世界の美女、悪女の本を紹介する。
他にも、僕が名前も知らないような臓器売買のマンガとか、ダメ男のマンガとか、お嬢様が出てくる異世界転生のマンガを紹介してた。
こういうタイプの人って、こういう本好きだよな、だけじゃなくて、その人のこだわりがわかってよかったし、普段あんまりしゃべらないタイプの人なので、いいなと。
中でも美女、悪女の本は、本人はあんまり頭に入ってこなかったとは言ってるけど、おもしろいらしいことはわかったので、いずれ読もうかなと思ってる。
どうやら文学の話は最後にとっておいたらしく、意外にも好きな本は18・19世紀のフランス文学。
ヴィクトル・ユゴー『レ・ミゼラブル』、ディケンズ『クリスマスキャロル』、スタンダール『赤と黒』が好きなのだとか。
あらすじを話してくれるんだけど、筋で読んでいく読み方が好きらしく、さらには、主人公が事件に巻き込まれたけど、乗り越えて改心してく話や、残酷な物語が好きだということまでが、3作に共通してた。
僕は18・19世紀の小説って、貴族趣味がすごすぎて、あんまり読む気になれなかったんだけど、今日、読みはじまったフランスのノーベル文学賞作家・アニー・エルノー『シンプルな情熱』を読み終わって余裕ができたら、1作くらいフランスの古典も読んでみようかと思ってる。
藤子さきみたいに、文学ってこんなに心が豊かになるものなんだ、自分の知らない世界を教えてくれるものなんだって、気づいて人生をより謳歌することができたのに、それをいろんな事情で妨害されてしまう人というのは世の中にいるんだろう。
そんな人のためにも、僕は少しでも文学の素晴らしさを世の中に伝えたい。
了
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