南野 尚紀
今日でローマに来て五日目になるんだけど、人生に大革命が起きたっていうか、変な話、心の中でずっと思い描いて、実際、エッセイにも何百回も書いた神の国イタリア、フランス革命じゃないけど、驚くべきほどに自己変革が起きたのは、アントニオ・タブッキの「ベアト・アンジェリコの翼ある者」みたいにキリスト教徒が田舎で野菜育てながら、ずっと翼ある者の到来を待ってたのに似てるのかなぁ、わかんないけど、これで心おきなく仕事ができるし、文学と、結婚に励めるわ、みたいなそんなノリで今を生きてるから、すごく心が幸せだなぁ。
ローマの街は僕が思い描いてたものと現実とではだいぶ違くて、荒廃した街がたくさんあったり、ちょっとダーティーな人がたくさんいたりと、最初はわからないこともあったけど、なんてことはない、精神的な問題やこの国の抱えている大きな歴史や文化は考えていたものと違わなかったどころか、垂直に上を見るような感じでその上を見る感じが最高だった、綺麗な人も多くて感動したし。
こっちに来てから、ほとんど常に英語で考えるようになったから、ずっとできなかった英語がすぐにしゃべれるようになったとか、イタリアの菓子パンが甘くておいしいとか、アジアではずっと食べられなかったトマトが感動的に甘くて、その作り方とかちょっと調べたいなってくらいおいしかったとか、いろんな幸せに囲まれて過ごしてる。
僕がローマに来て思ったことは山ほどあったけど、大きく思ったのは二つで、そのうちの一つはこれ、「Thinking about feeling」で、もっとはっきりいうと、「translate feeling into words」で、感じたことを言葉にするっていうことが自然にできるようになったことで、普通の人が聞いたら「え?」って思うかもしれないけど、女の子からずっと「あんたは感じるのことの大切さわかってないから、結婚できないんだよ!」って散々いわれてきて、それで一回結婚逃したくらいだから、僕にとっては重要なことで、なんだか幸せなんだよなぁこっちのフィーリングの感じ。
僕は試験勉強とか、実験室での研究とか、法律とかパソコンの勉強って少し苦手で、理由を正せば、自然じゃないからなんだけど、こんな大都市なのに不自然なことをいっている人とか、そういう振る舞いをしている人がほとんどいないのは僕にとってこの街の一つのミステリーだ。
スパークリングウォーターとか、パスタも泣きそうなくらいおいしくて、パスタに関していえば、麺にスープが染み渡ってて食べただけでもう目の前は天国かな、パソコンとか、法律とか、セックスに関係ないことぜんぶ忘れちゃうよ、お酒飲んでる時とか特に。
タクシーの運転手にも、フラヴィアさんっていう日本にいるイタリア人にも、スモールシティ好きなら、ナポリいいかもっていわれて、理由は陽気でよくしゃべる人が多いからだそうだ。
ローマはすごくカッコよくて好きだけど、田舎者の僕にはまだ早いかな、一〇年後くらいにほんとの紳士になったら住もうかなとか思ったりして、ローマ人の大半はきっと行ったことこそないけど、フランスに似てる、ペルシャ猫みたいにすごく気高いから、好きすぎるけどちょっと緊張はする。
ここで二つ目の気づきだけど、ローマの街というか、飛行機に乗った時点で強く思ったけど、まるでモデルの女性と一緒に歩いているみたいな感じがするというのが最大だった。
常にモデルの人が隣にいて、ずっと見られてるみたいな感覚が強烈にあって、緊張はするけど、なんてことはない、イタリアの美学や美人の持ってる感覚は、緊張という言葉とかなりすぐそばにある。
だからこそ、サンドロ・ボッティチェリとかダンテとかみたいな、エロい絵画で暗黒の時代の終わりの到来を告げた人が出てきたり、コメディの先駆みたいな作品を書いた素晴らしい人が出てきたりしたんだろう、それもイタリアの美人をよろこばせれるためで、僕の文学の最大のテーゼ、美人のいいたいことの代弁をするってことそのものだということを直感で感じた。
だから最高なんだよな、イタリア!!
他にも理由は滝のように溢れてくるし、言葉が滝のように溢れてこないと作家じゃないのも事実だから、作家やったり、アートの仕事やったりするなら最高だ!!
こっちでは、かっこいいビジネスウーマンから「Sir」って呼ばれたり、こっちが「Buon gioruno」って言っても、日本人の顔なのに発音が綺麗すぎるからか、「Bonjour」って返されたことが何回もあるのはちょっとうれしい笑
ただパリピっていうか、セレブっていうか、いわゆる陽キャだけど、明るい男女が多いのは、どっちかっていうとスペインみたいだから、スペインにもかなり興味はあるし、スペインの人と偶然巡り会えれば結婚もしたいなぁとか一瞬思った。
イレネ・バジェホっていうスペインの作家さん、ひょんな機会にたまたまフォローしたんだけど、X、すごくよさそうな本書いてるから、ぜひイベントで会いたいと思ってる。
こっちでも文学の仲間とか、仕事のつながりの人とかも、たくさんできたらいいなぁって思うし、イレネさんすごくよくしゃべる、おもしろそうな人だし、才気あふれる人だから、会っていろいろ話したいし、テレビ見てても思うけど、ヨーロッパ、主に、東欧と南欧の女性はディスカッション大好きで、討論番組に出てるのは、女性が大半なのも事実だから、ぜひイレネさんとディスカッションしたいとかそんなことも夢見心地に感じながら、ウイスキーを飲みつつ、いろいろ未来のことを思ってる。
#イタリア #ローマ #イレネ・バジェホ #スペイン #エッセイ #美学 #哲学
#読書 #作家 #文学 #アントニオ・タブッキ #ダンテ #ボッティチェリ
#イタリアンカルチャー
了
コメント