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若さ、老い、幸福と不幸のはざまで

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   南野 一紀  

 善意のある親に育てられたサラブレットでもない限り、人生は紆余曲折あるもんで、時に人は迷い、年を経るにつれて、世間の風当たりっていうのは本人のやむを得ない事情や心に秘めた言い訳とは関係なく不当に厳しくなってくるもんだから、途中で諦めてそのグレードの範囲内に安住して、うまくやってこうって画策するのが通常なんだけど、それでも上を目指してあくなき戦いに挑む人間っていうのは、古今東西老若男女、魅力的だなと感じる。

 チェット・ベイカーっていうジャズマンは、才気あるイケメンだった。でも、村上春樹からも寺島靖國からも、「若くして死ぬべきだった」という厳しい評が下っている。

 さっきはYouTubeでにこるんの秋の私服コーデの動画を見ていたんだけど、彼女の魅力は若さに頼っている部分が大きいように思うから、素敵な淑女になってほしいと心から願うし、素敵な淑女になるには途中で、世の中の弱さに見切りをつけて、教養や話の合わせ方を身につけなくてはいけないのも事実、だからそれができるといいなと祈っている。

 かく言う私は、美女が好きなのだけど、若いとかちょっと歳食っているとかに関係なく私の基準で美しい人が好きだから、チェット・ベイカーとかにこるんとかとは逆で、いかにある程度の年齢を重ねるまで世間の重圧に耐えて、結果を出すために努力し続けるかが人生の鍵だというように思っている。

 チェット・ベイカーもそうだし、にこるんもそうだけど、世間に対してどういうブランドで自分が売っているかっていうアピールをすることに人生を賭けていて、そのために努力のみならず、それに関するすべてを惜しまないカッコイイ人だと感じるから、来世はチェット・ベイカーかにこるんに生まれて、生きしんでいきたいなと心から願うし、私は外面よりも心を重んじる人間、来世も変わらず私かなとかも思う。

 話は飛ぶけど、チェット・ベイカーの「All the things you are」の演奏や、にこるんのインスタの投稿を見ていると、なぜかふと意識の底で、石原慎太郎がセコンドになって立っていて、ボクシングのリングで戦っているチェットやにこるんに対して、「チェット(藤田)、倒せ! 倒せー!」と叫んでいるシーンが頭に浮かぶ。

 人生ってそうだ! 誤魔化しは効くし、逆に言えば、不当な妨害はあって、それが理由で、人生、うまくいかせるために哲学や術策をこねくり回すんだけど、結局は勝ったか負けたか、美しい人と結婚できて幸せになれるかがすべてでもある。

 そんだったら、文学やってようがなんだろうが、勝って、美人と結婚して、幸せに生きた方がいいに決まってる。来世の自分にキレイな姿で顔見せできるように。

 若さの魅力っていうのは、正しい判断力に欠けていても、側から見た時、無思慮で無計画に見えたとしても、圧倒的な自信と気の強さで人を圧倒できるところにあるから最高だよな!

 僕も若い女性のみをカテゴリーで区切って精査して、好きになれたらよかったけど、ちょっとその辺がバカだったなぁ。

 イタリア人っていうのは、ダンテにしてもそうだけど、美女の若さと老いに関する問題とはいつも切っても切り離せないような気がしている。

 淑女が好きっていうのは、私の人生の最大の罪悪だった。

 僕が若い女性の方が美しいとわかっていても、時々、淑女に惹かれてしまうのはなぜなのだろう。口だけの好きだったとしても。両親の教育? 関係ないと思うな。哲学書とか読んでいろいろ考えたけど、やっぱり、僕が不幸を背負わされて、かつ本質的な美を追い求めてしまったからなのだろう。

 あまりにも不幸だ。それでもどうにか、結果を幸せに持っていかなきゃいけないのが人生。努力、Yes。

  了 

#エッセイ #南欧美学 #哲学 #美学 #にこるん #藤田ニコル #ジャズ #文学 #石原慎太郎

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